八ヶ岳山麓のなだらかで広大な環境は、かつての大規模火山で出来た土地です。
たくさんの安山岩で出来ているため、八ヶ岳の地面下を流れ出る地下水は、ろ過されています。中でも「阿弥陀聖水」は常温保存でも一年以上腐らないと言われているほど、水に不純物が混ざっていません。そんな水を巡るツアーをご紹介します。
サイクルステーションを出発し、八ヶ岳山麓、そして南アルプスに続くなだらかな大傾斜の畑を見ながら、自然の壮大感と空の広大さを感じ、気持ちよく自転車を漕いで行きます。
そうすると見えてくる一件の農家さん。八ヶ岳の恵みの水を使い、とても新鮮で果物と言ってもいい「ミニトマト」を大切に作られているしのはら園芸さんです。ご夫婦で始めた農家も、息子さんが後を継ぎ、2世代のとってもほっこりするご家族で経営をされています。
このミニトマトは、とにかく甘くて瑞々しくて、ここまで自転車に乗ってきて少し乾いた喉に染み渡ります。そして、篠原さんの温かさに触れて、このトマトがなぜこんなに甘いのかが納得できます。
もう少し温かさを感じていたいところですが、ここからは一気にルートの雰囲気を変えて進みます。eマウンテンバイク(電動アシスト付き)だからこそ、気にせず進めるオフロードは、なかなか味わえない感覚です。
静かな森の中を進んでいくと聞こえてくる水の音。小さい小川に差し掛かります。
山の傾斜と90度横方向に流れる小川。この小川は、坂本養川(サカモトヨウセン)さんという方が人生をかけて作ってきた「セギ」というものです。かつてこの地は水の奪い合いで人殺しがあるほどでした。
その水を八ヶ岳山麓の中でも水量が少なかった南側に向けて横方向に流すことで、八ヶ岳山麓の広大な土地に水を分配している「セギ」。
様々な方法で水を流し、たくさんの農家が救われました。昔、人力で山を開拓して、この水の道を作ったと考えると、凄い人の力と想いを感じます。
色々な種類のセギを見ながら、更に八ヶ岳に向かって進んでいきますが、途中から頭の上は背の高い木で覆われ、八ヶ岳は見えなくなってしまいます。
木のトンネルをしばし走ると、突然森の中を抜け、ちょっと前はかなり遠くにいた八ヶ岳が一気に目の前に顔を出します!!湖もあるこの場所は知る人ぞ知る、穴場の絶景ポイント。ここで軽食を食べながら美味しい珈琲で一休憩です。
八ヶ岳の偉大さに触れた後は、さらに道を登っていきます。御柱街道を走り進んだ先にある、農業大学の直売所に立ち寄ります。学生たちが育てたおいしい野菜を買ったり、朝採れたての甘い牛乳を飲んだり出来ます。
束の間のお土産タイムを楽しんだ後は帰路に着きます。
帰りは下りなので、一気に降りてサイクルステーションへ。
約3時間のコースになりますが、この地の農作物や人の歴史は全て八ヶ岳の恵みの水で成り立っています。
人の知恵で水がより多くの人に渡り、多くの人の愛情で育った農作物。 この地の本質を知るツアーを是非ご体感頂きたいです。